まなざしとは「何かを見ている人の目の様子」を指しますが、私たちは相手の目を見ずともまなざしを感じたり、その人全体から発せられる心の向きをまなざしと捉えていたりもします。そのように考えると、心のあり方を伝える媒介としてのまなざしは、目という器官を超えた身体そのものの現象として、私たちの感情生活に寄り添っているとも考えられるのではないでしょうか。
本展では、しらとりけんじ・光島貴之という2名の全盲の作家、および、池上恵一・伊庭靖子・中ハシ克シゲという3名の晴眼の作家を迎え、まなざしの身体性をテーマとした展示をおこないます。本展の問いかけに対し、見えない者と見える者がそれぞれの立場から応答した作品群をとおして、みなさまが新たなまなざしと出会うきっかけとなることを願っています。
※ この展覧会は終了しています。
〈メディア掲載情報〉
本展覧会と関連企画の様子が、以下のメディアに取り上げられました。
※ このイベントは終了しました。
出展作家とゲストスピーカーによるギャラリートークをおこないます。
※ このイベントは終了しました。
視覚に障害のある人と一緒に出展作品を言葉で鑑賞するイベントをおこないます。
※ このイベントは終了しました。
少人数のグループに分かれて、視覚に障害のある人と一緒に館内を回ります。
※ このイベントは終了しました。
脳科学者の藤田一郎さんをお迎えしてトークを行います。
1972年大阪生まれ。京都精華大学大学院美術研究科修了。病弱だった幼少期、父の食養法に救われる。以来、健康とは何かを意識しさまざまな手技療法や武術を習得。みえないけれども身体にうまれる「凝り」に魅了され、その感触を絵画、彫刻で表現する。自身の肩こりを日々記録した作品『肩凝リズム』が第5回岡本太郎記念現代芸術賞 特別賞を受賞。その他、大自然からマッサージする『Energy Flow』パフォーマンス、凝りを視覚化して「いのちを感じる」ワークショップ、凝りを音楽に変換するプロジェクト、障がいのある人たちとつくる演劇にも関わる。
陶器、クッション、風景といった身近な対象物をモティーフに、自ら撮影した写真をもとに油彩画等を制作。モティーフがまとう光や質感、あるいは画家の眼と対象との間にある距離や空気を描写する作品を通して、色彩、光、物質の関係を探求する。主な個展に「伊庭靖子展 まなざしのあわい」(2019年、東京都美術館/東京)、「伊庭靖子展─まばゆさの在処─」(2009年、神奈川県立近代美術館/神奈川)。グループ展に「みつめる──見ることの不思議と向き合う作家たち──」(2019年、群馬県立館林美術館)、「感覚の領域 今、「経験する」ということ」(2022年、国立国際美術館/大阪)など。
写真家。2005年くらいから、デジタルカメラで写真を撮り始める。一人で歩くときに撮影するのが、習慣のようになっている。酔っぱらって調子に乗ると、やたらと撮りまくることもある。シャッターボタンを押した時点で、ほとんど完結していて、その後のことについては、あまり興味がなく、所有欲も少ないことは、当初から一貫しています。2014年、水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城県)ヂョン・ヨンドゥ「地上の道のように」作品協力。2021年、はじまりの美術館(福島県)、「(た)よりあい、(た)よりあう。」に出展。
※ 本展示は、しらとり けんじと新谷 佐知子(アーティスト)、吉田 亮人(写真家)による共同制作です。
1955年香川県生まれ。1976年東京造形大学美術学科彫刻研究室修了。作風を変えながら一貫して日本の彫刻とは何かを問いかける作品を制作している。近年は、日本伝統の住環境に似合う彫刻を探求する中で、乾燥後に実材化する水粘土を自ら開発して干泥彫刻と名付けて発表する。また、その制作と前後して、自らの視覚を閉ざして触覚のみによる彫刻も始めている。2015年京都府文化功労賞受賞。2020年度京都市文化功労賞受賞。2021年度よんでん芸術文化賞受賞。
1954年京都生まれ、在住。10歳ごろに失明。大谷大学文学部哲学科を卒業後、鍼灸院開業。鍼灸を生業としながら、1992年より粘土造形を、1995年より製図用ラインテープとカッティングシートを用いた「さわる絵画」の制作を始める。1998年、「'98アートパラリンピック長野」大賞・銀賞を受賞。他作家とコラボレーションした「触覚連画」の制作や、2012年より「触覚コラージュ」といった新たな表現手法を探求している。2019年「MOTサテライト2019 ひろがる地図」(東京都現代美術館)、2021年「光島貴之展 でこ・ぼこ・ながの」(長野県立美術館)、2022年「みる冒険 ゆらぐ感覚」(愛媛県美術館)など。