光島貴之からのメッセージ

「アトリエみつしま」は、バリアへの新しいアプローチを実践する拠点となることを目指します。

 

1984年、渋谷の松濤に「手で見るギャラリーTOM」が私立のギャラリーとしてオープンしました。

視覚障害者だった村山錬の「ぼくたち盲人もロダンを見る権利がある」という言葉につき動かされて、彼らは次々とさわれる作品を展示し始めたのです。

ぼくも何度となくこのギャラリーに通い、作品を鑑賞し、何かを作りたいという気持ちをあたためていました。

 

あれから36年。

ぼくが自分のギャラリーをオープンするに当たって、何を大切にしたいかを考えています。

 

「見えないと美術は楽しめない」という常識は、もう過去のものになりました。

たとえさわれなくても、美術は楽しめる。

言葉と想像力で見えてくるものがある。

使えるものは何でも使う。

言葉も、手も、空気感も、見えている人の目も。

 

「見えない人にもアートを楽しんでほしい」と考える作り手が、最近増えてきたように感じます。

われわれはそういう作り手の思いに寄り添い、見えない人がアートに近づける鑑賞の方法を考え続けていきます。

 

バリアを意識しながら、その壁の向こう側まで行ってみよう。