本展覧会は「まなざし」をテーマとし、まなざしと時間のかかわりについて考えます。私たちの位置は常に現在にありますが、そこから過去を見つめたり未来に目を向けることで、イメージの中では自在に時を往来しています。
虚空を見つめて、遠い目をする。そうして何かの記憶に思いを馳せる瞬間、私たちはここにいるにもかかわらず眼前にある風景を見ていません。観念上のまなざしは、心理的に離れたことがらを心に映すことで、現実空間の制約から私たちを解き放ってくれるのです。
本展覧会では、全盲の大谷重司と光島貴之、晴眼者の石原友明とロビン・オウィングス、かつふじたまこといった視覚にさまざまな特性のある作家を迎え、それぞれ独自の視座から、時を見つめるまなざしの行方を追います。来し方を思い、行く末に心をひらく私たちのあり方を、あらためて見つめ直す機会となれば幸いです。
※ この展覧会は終了しています。
◆ 関連企画
※ このイベントは終了しています。
〈トークイベント ①〉
〈対話鑑賞イベント〉
〈ACK 西陣・紫野アートナイト〉
〈トークイベント ②〉
1959年大阪市生まれ、1984年京都市立芸術大学大学院修了、写真など様々な近代のメディウムを使った作品で身体イメージの読替えと再表象を試みている。セルフポートレイト、点字絵画や皮の彫刻による視覚と触覚の交換、インスタレーションによる空間の経験など。主な個展に、「美術館で、盲人と、透明人間とが、出会ったと、せよ。」(キリンプラザOSAKA、1996)、「美術館へのパッサージュ」(栃木県立美術館、1998)、「蝿とフランケン」(MEM、2021)、「石原友明展–Selfies」(京都市立芸術大学、2024)。
1991年アメリカ、アラバマ州生まれ、2017年より京都市に移住。インスタレーション、絵画、音楽といった様々な形の芸術作品を制作している。目の前の生きている世界に近づき、正面に座り、よく見ることと、その質感に触れることの練習であり、好奇心から「生きているものの美しさ」を祝う練習です。主な展覧会として、個展「秋の鴨川風景スケッチ」(京都、2019)、個展「ツツジ」(京都、2020)、「原泉アートデイズ!」(静岡、2020-2022)、ソノノチ×Robin Owings「あなたはきえる」(京都、2023)。
1957年富山生まれ。1980年創形美術学校卒業。1987年東京ヘレンケラー学院卒業。1986年鍼灸・マッサージ治療院を開業する。2004年よりワークスアプリケーションズにてヘルスキーパーとして勤務する傍ら、クリエイティブ・アート実行委員会が主催するワークショップに参加し、2014年より立体造形をはじめる。近年の出品として、「多様性を育む美術展覧会」(東京芸術劇場 アトリエイースト/東京都北区文化芸術活動拠点 ココキタ、2023年)、「触覚する衣服」(渋谷キャスト スペース、2024年)など。
音作家。90年代半ばより詩や言葉を用いた音作品の制作を始める。2000年フランス国立視聴覚研究所INA-GRMにて作曲を学ぶ。何気ない日常から小さな奇跡(音)を拾い集め紡ぎ出し、日常の隣のちょっとへんてこな世界を表現するその作品は、フランスの国際電子音響音楽祭からの作曲委嘱、NYのインターネットラジオでの特集など、国内外で上演されている。一方、鍵盤ハーモニカとビー玉、スプーン、紙コップなどの日用品で奏でる繊細な生音と、サンプリング、エレクトロニクスを組み合わせた即興演奏でも、唯一無二の音世界を作り出す。
1954年京都府生まれ。10歳頃に失明。大谷大学文学部哲学科を卒業後、鍼灸院開業。鍼灸を生業としながら、1992年より粘土造形を、1995年より製図用ラインテープとカッティングシートを用いた「さわる絵画」の制作をはじめる。'98アートパラリンピック長野、大賞・銀賞。他作家とのコラボレーションや、「触覚コラージュ」「釘シリーズ」などの新たな表現手法を探求している。「MOTサテライト2019 ひろがる地図」(東京都現代美術館、2019)、「今村遼佑×光島貴之 感覚をめぐるリサーチ・プロジェクト〈感覚の点P〉展 プレイベント」(東京都渋谷公園通りギャラリー、2024)など。